父母と教師に役立つ学級懇談会の話材集    2015・5・13記





   
 学級懇談会の持ち方(2)





     
各テーマで話題になりそうな観点


 下記は、学級懇談会でよく取り上げられるテーマの例です。予想される
テーマを列挙しています。また、わたしなりに考えたテーマを細分化した観
点を順不同に列挙しています。上から下へと順番に話し合っていく、という
ことではありません。このテーマでは、こんな話題の幾つかの観点がある、
ということです。このほかの観点も、各地域の特殊な教育事情によって考え
られるでしょう。

    
司会進行の順序は、
      *話しが出やすい観点から、
      *話しが盛り上がりやすい観点から、
                  開始することが重要です。




  
「基本的な生活習慣の身につけさせ方」


*あなたが子どもだった時、両親から厳しくしつけられたこと、しつけ方法
 などで、今、心に残っているのはどんなことがありますか。
*しつけで、お子さんに欠けているもの、よく身についているもの、三つず
 つあげてください。
*このことだけは、わが子にしつけておきたい、身につけるように努力して
 いる、ということは何ですか。どんな方法でそれをしつけていますか。
*親が甘やかしのしつけをしているとしたら、あなたはどんな点が甘やかし
 ていると思いますか。例をあげてください。あなたがルーズなしつけをし
 ていると自覚している点は何ですか。
*お子さんは、整理整頓のしつけがうまくできていますか。どんな方法でし
 つけていますか。
*お子さんは、ものを大切にしていますか。大切にしていない例をあげてく
 ださい。ものを大切にするために、どんな方法でしつけていますか。
*食事作法で厳しくしつけていることは、どんなことですか。どんな方法で
 しつけていますか。できていない点は何ですか。
*礼儀作法で、あなたは特にどんなことに重点をおいて指導していますか。
 何を、どんな方法でしつけていますか。
*電車やバスに乗っていて、車内マナーで、あなたが気になること、良い点、
 悪い点で目についていることはありますか。あなたは車内マナーで特にど
 んなことを指導していますか。
*地域の子どもたちの行動を見ていて、何が良くできていると思いますか。
 何が欠けていると思いますか。
*最近、子どもの作法教室(塾)が話題になっていますが、あなたはどう思
 いますか。
*家庭でしか教えられないものは、何でしょうか。学校では教えられないも
 のは、何でしょうか。


       
「わが家の教育方針」


*わが子の教育やしつけについて夫婦で語り合うことはありますか。あると
 すれば、いつ、どんなことについてですか。
*こんな大人になってほしい、という願いは誰でも持っているでしょうが、
 こんな大人、という場合の、こんな大人、とはどんな大人のことですか。
*子どもは父親の言いつけは守るが、母親の言いつけは守らない傾向にある
 と言われています。その原因はどこにあると思いますか。どう対応してい
 くとよいと思いますか。
*昔は「厳しい父親、優しい母親」でしたが、今は「優しい父親、厳しい母
 親」と逆転していると言われています。あなたの家庭ではどうなっていま
 すか。どちらがよいと考えますか。
*現在の家庭は、「父いても、父なき家庭だ」と言われています。わが家に
 当てはめると、どうでしょうか。父親は、わが子の教育についてどんな指
 導・コトバかけをしていますか。
*あなたの家庭で、わが子に家庭生活のきまりとして、ぜひ守らせたいこと、
 10個あげるとすれば、どんなことですか。「十カ条の憲法」を作るとし
 たら、どんな項目になりますか。「十カ条の憲法」を作って、守らせてみ
 よう。その結果を持ち寄って、反省会を開いてみよう。
*わが家では、家庭内の仕事で、父親と母親と子どもの役割分担がこうなっ
 ている、という現状を話して下さい。
*過保護や過干渉、また放任のしつけは、子どもをダメにすると言われてい
 ます。なぜ、そう言われているのでしょうか。あなたのしつけ方法はどう
 でしょうか。夫婦で、そのこと「過保護・過干渉・放任のしつけ」につい
 て話し合ったことはありますか。
*子どもの教育には夫婦仲のよいことが必須条件だと言われています。なぜ、
 そう言われているのでしょうか。皆さんはどんな努力ししていますか。夫
 婦仲のよいところを、わが子に見せていますか。見せようと努力していま
 すか。おのろけ話でもいいですから語ってください。
*理想の母親、理想の父親をめざして、あなたが実際に努力している事柄を
 話して下さい。こんな母親、父親になりたくない、ということも話して下
 さい。

       
 「自立心の育て方」


*わが子が親離れできていない子だとすると、それはどんなところに見られ
 ますか。
*自分が子離れできていない親だとすると、それはどんなところに見られま
 すか。
*自立心のある子とは、どんなことができる子だと思いますか。自立心がな
 い子とは、どんなことができない子だと思いますか。わが子には、自立心
 があるところ、ないところ、どんなところに見られますか。
*○○の自立心を身につけるには、こんな方法で指導していくとよい、みん
 なで話し合ってみましょう。
*わが子に、過保護、過干渉、過支配、放任の対応をしているところはあり
 ませんか。あるとしたら、どんなところですか。
*自立している行動とは、どんな行動を言うのだろうか。みんなで出し合っ
 てみましょう。予想される「自分から進んでするもの」。
 起床時間が一定している。寝る時刻が一定している。一人で起床する。 
 朝・夜に歯磨きをする。布団の上げ下ろし・ベッドの整頓。トイレの後に
 手を洗う。食事前に手を洗う。外出から帰ったら手を洗う。自分のパジャ
 マをたたむ。自分で洗髪する。自分で爪を切る。読書した後やおもちゃで
 遊んだ後の後片づけ。自分で卵焼きが作れる。自分でスーパーへ行って買
 い物ができる。電車やバスに乗って買い物ができる。お金を計画的に使う。
 言伝・伝言ができる。その他、みなさんの家庭ではどんな自立した行動が
 あるか、語り合ってみましょう。
*親がいつまでも子どもの面倒をみてやっているから、自立心が身につかな
 い、と言われることがあります。あなたには、親のやってあげ、めんどう
 みすぎ、はありませんか。


    
  「食事のしつけ、マナー」


*わが家では、おやつは何時頃に与えている、全く与えていない、こんなお
 やつを与えている、などを報告し合いましょう。
*わたしは、こんな手作りのおやつを与えている、おやつの作り方を披露し
 あいましょう。
*スーパーで売っている、こんなおやつ・飲み物は健康によくない、という
 ものはありますか。わが家では、これは与えていない、これはよく与えて
 いる、というものがあったら話して下さい。
*お子さんには偏食はありませんか。偏食をなくすために、どんな心配りを
 していますか。このようにしている、を語り合ってみましょう。
*食事マナーで、特に重点的に指導していることは何ですか。欠けているマ
 ナー、いつも注意しているマナーはなんですか。
*箸の持ち方は正しいですか。箸使いは、何歳頃に教えましたか。
*あなたの家庭では、食事中は、テレビをつけていますか。消していますか。
*食事時間は、家族の楽しい団らんの時間になるように配慮していること、
 気配りをしていることがありましたら言ってください。


        
「家庭勉強のさせ方」


*家での勉強はいつやっていますか。大体何時頃ですか。曜日によっても違
 うでしょうが、一日の勉強時間はどれぐらいですか。
*あなたの家では、家庭勉強について、約束事はありますか。あるとしたら、
 どんな約束事ですか。
*問題集の買い与えなどはしていますか。
*わたしの子は学習塾へ行っていません。行かせた方がよいのでしょうか。
 行っているお子さんの母親の考えを伺いたいのですが。
*あなたのお子さんは、どんな趣味を持っていますか。どんなことに興味関
 心を持っていますか。それを伸ばすために、あなたはどんな心配りをして
 いますか。
*自分から進んで勉強してほしいんですが、ちっともしてくれません。親は
 どんな手立てを与えたら、どんなコトバをかけたら、自分から進んで勉強
 するようになるのでしょうか。口やかましく勉強せよ、というのは逆効果
 だと聞いたことがありますが、ほんとうでしょうか。どんなさせ方が効果
 があるのでしょうか。
*父母は、「勉強」というと国語、算数、理科、社会などの知識獲得を考え
 がちです。もう一つ、とっても重要な「勉強」があります。学校という集
 団生活の中で、家に帰ってからの遊びでの集団生活の中で、どう善き行動
 をしていけばよいか、人と人との善き関係をどう築いていけばよいか、こ
 れらはとっても重要な「勉強」の一つです、家庭勉強の一つです。
 あなたが、わが子の集団生活や社会行動で気をつけて指導していることは
 どんなことですか。

 下記は、中学生、高校生が部活動の中で大切な勉強(体験)をしていると
告白している新聞への投稿記事です。中学生、高校生にとっては、学業成績
だけが勉強でない、集団行動や集団生活での人間関係をよくする勉強領域が
大きく占めていると告白しています。

           
参考資料(1)

 下記は、毎日新聞(2015・2・19)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。

         学校は人間関係を学ぶ場
               中学生 岩田七海 15 (東大阪市)

 私は人間関係は学校でしか学べないと思います。学校では国語や数学など
の教科を学びますが、それは一人でも学べます。人間関係はそうではありま
せん。
 人と意見が合わずにけんかすることがあります。しかし、それも人間を成
長させる一つの機会ではないでしょうか。違う考えを持つ人と人の衝突が起
きるから、どこがいけなかったのかと考えて行動することができます。それ
をくり返すことによって、人間関係の築き方が自然とわかってくるのだと思
います。
 さらに他人と接することで我慢することを覚えます。それは自分の気持ち
をコントロールできるということです。もし、世の中の大人がこのようなこ
とをできなかったら、どうなりますか。きっと社会は成り立たないでしょう。
 だから学校は普通の勉強だけでなく、人間関係や精神的なことを学ぶ場で
あると考えます。社会で生きていくうえで必要なものの大半を学べる場。そ
れが学校であると思います。


          
参考資料(2)

 下記は、毎日新聞(2015・2・27)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。
       
先輩の存在は大きかった
            中学生 大石優夏 14 (東京都町田市)

 私は最近、先輩の存在がなくてはならないものだと感じています。
 「先輩といっても、ただ一つ、二つ上の、偉そうにしているだけの人たち
でしょ」と、中学1年の頃は思っていました。何をしたって怒られるし、怖
いし、といつも思いながら部活動をしてきました。でも、3年生の引退の時
期が近づいてくると、今までとは逆に「もっと先輩と一緒に部活したい」と
思うようになりました。「怒られる」が「怒ってくれた」へ。「怖い」が
「怖くしてくれた」へ。嫌だなと思っていたことが感謝と思い出へと変わっ
てきました。
 あのとき、私語が多かったから怒ってくれたんだ、自分の気が引き締まっ
たのって、先輩が怖くしてくれたからだ、などと、私の今の生活や思い出に
は、先輩が深く関わっていたのです。部活や大会、学校生活でも、先輩の存
在は大きかったんだなと思いました。卒業式を前にして、これから、そんな
先輩たちとも会えなくなることが、とても悲しいです。



          
 参考資料(3)

 下記は、毎日新聞(2015・3・15)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。
        
お世話になった先輩たち
            中学生 相場真子 14(東京都文京区)

 3月になった。入学、卒業という言葉を耳にする機会が増えてきた。
 私が一番感慨深いのが、3年生の先輩が卒業してしまうことだ。部活動で
お世話になった先輩方にそう感じることが多い。私は、バスケットボール部
に所属している。今は部長として活動しているものの、入部したての、まだ
右も左もわからに私に、さまざまなことを教えてくれたのは一つ上の先輩方
だった。バスケの技術面はもちろん、体育館での準備、先生方やコーチへの
礼儀など、社会にでた時にも必要なことまで手取り足取り教えてくれた。廊
下で会った時はいつも笑顔で声をかけてくれた。そんな先輩方がもうすぐ卒
業してしまう。感謝の気持ちをしっかり伝えるために、気持ちのこもった色
紙を贈ろうと思う。そして、先輩から直接教わった「礼儀」で、先輩方に感
謝の意をきちんと表そうと心から思った。



          
参考資料(4)

 下記は、毎日新聞(2014・12・1)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。

        部活で礼儀や感謝の心を学んだ
               中学生 渡辺真歩 12 (東京都立川市)

 私は卓球部に入っています。卓球部では、卓球が上手になるだけでなく、
あいさつや礼儀、感謝の心など、人間が生きていく上で大切なことをたくさ
ん学べます。
 私は、卓球部に入り、前よりあいさつや返事が良くできるようになったと
思います。また、人が何かやってくれたら感謝の気持ちを込めて「ありがと
うございます」と言えるようにもなりました。今、生きていることにとても
感謝しています。学校に通って、勉強できることに感謝しています。
 普段やっていることは当たり前だと思われますが、今日、生きていられる
ことも奇跡だと思うようになりました。私たちのように中学生になれず、亡
くなってしまった人もたくさんいます。今日生きていられるのは、当たり前
ではないのです。
 命を大切にする。命に感謝することができるようになりました。卓球部で
多くのことを学びたいです。



           
参考資料(5)

 下記は、毎日新聞(2014・7・29)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。
         
自分で壁を作らないで
            高校生 枝光比菜乃 18 (北九州市戸畑区)

 私は1学期をもってインターアクト部を引退した。部名だけではなかなか
理解してもらえないが、地域でのボランテア活動を中心にする部活だ。昔か
ら自分から積極的に人と関わることが苦手で、そんな自分を変えようと人の
かかわりが強いこの部活を選んだ。
 入部当時は、なかなかうまくコミュニケーションをとることができず、戸
惑いもあった。しかし活動を重ねるなかで勇気を出して話しかけてみると、
地域の方々はとても優しく話を返してくれた。このことで、人と話す楽しさ
を知り、また部活がとても楽しいものとなった。
 昔の私と同じように人と関わる自信がなく、恐怖心を持っている人に私は
伝えたい。
 人見知りなんて性格は存在しない。ただ、人見知りという言葉にすがって
自分で壁を作っているだけだ。
 勇気を出して自分から積極的に心を開けば、きっと相手も応えてくれる。
私はこの部活からそうしたことを教えてもらった。


     
「親のモデリングについて」


*「飼い犬は、飼い主に似る」と言われています。「子は親の鏡」とも言わ
 れています。わが子が母親(父親)と似ているなあ、ウリ二つに似ている
 なあ、と思うところは、ありますか。どんなところですか。
*親がわが子に良い行動の手本をわざと見せて「こうやるのよ」と教えたこ
 とはありますか。それはどんなことですか。
*「子どもは親の背中を見て育つ」とも言われています。子どもは知らぬま
 に親の行動を見て、まねして、身につけています。子どもの前で、意識し
 て、これはまねしてほしい、と願って自分でやっていることはありますか。
*これは子どもに見せてはいけない、子どもの前でやってはいけないと気配
 りして行動している事柄はありますか。どんなことですか。いつも見られ
 て、まねされてもいい行動をしていますか。
*親が、喜び・苦しみ・悩み・苦労している姿、生きざまを、人生は甘くな
 い、ということを知らせるために、そのありのままの姿を見せていますか。
 語って聞かせていますか。親の苦労している生きざまを見せていますか。
 わざと、そういうことは子どもの見せないようにしていますか。


     
「しつけ指導と成績との関連」


*整理整頓のしつけが学業成績と、どう結びついているのでしょうか。
*親のコトバづかいが学業成績と、どう結びついているのでしょうか。
*節約のしつけが学業成績と、どう結びつついているのでしょうか。
*早寝早起きのしつけが学業成績と、どう結びついているのでしょうか。
*幼児からのしつけが学業成績と、どう結びついているのでしょうか。
*親の聞き上手と学業成績と、どう結びついているのでしょうか。
 親の話し方、子どもへの語りかけ方が学業成績と、どう結びついているの
 でしょうか。
*子どもの趣味・特技伸ばしと学業成績と、どう結びついているのでしょう
 か。
*叱る、褒める、でなく、親の普段の行動(態度、家風)が手本となって、
 それを子どもが見ていて、それを模倣して、知らず知らずのうちに身につ
 いてしまっている、というしつけ(行動のしかた・行動パターン)もあり
 ます。
 あなたは、子どもが見ているぞ、まねしているぞ、変な行動してはいけな
 いぞ、ということを意識して行動していることはありますか。こういうこ
 とについて父母で話し合ったことはありますか。


     
 「親子の対話について」


*母親は、わが子と、どんな時に、どんな内容について対話・会話をするの
 が多いですか。多く話している内容はどんなことですか。
*父親は、わが子と、どんな時に、どんな内容の対話・会話をしていますか。
 多く話している内容はどんなことですか。
*親と子の対話時間を、どう作っていますか。最も多く対話する曜日や時刻
 はいつですか。
*家族団らんの時間を、どう作っていますか。家族全員が集まる機会はどん
 な時ですか。どんなことをして過ごしていますか。
*親子が一緒に、屋外、屋内で遊び、ゲーム、パーテーなどすることがあり
 ますか。
*遊園地、動物園、水族館などの見学を家族で計画することありますか。


     
 「読書好きな子に育てる」


*お子さんは家庭内でどんな本を読んでいますか。マンガは好きですか。
*本の買い与え方は、どうしていますか。
*友だち同士の本の貸し借りは、どうですか。お子さんはやっていますか。
*親がこういうコトバかけをしたら本を読むようになった、という事例があ
 ったら報告してください。
*子どもの興味や趣味を、本に結びつけていくために、あなたがしているこ
 とを話して下さい。
*親は、子どもの興味関心を広げていくためにしていることがあったら話し
 てください。

       
「コトバづかいについて」


*子どもが使っているコトバで、気になるコトバ、悪いコトバがありません
 か。あるとしたら、どんなコトバですか。
*子どものコトバづかいが悪いのは、テレビやマンガの影響があると言われ
 ていますが、そう思いますか。具体例をあげてください。
*コトバづかいは心づかい、と言われます。子どものコトバづかいで、どん
 なことに気をつけて指導していますか。
*コトバの乱れは思考の乱れ、と言われます。頭をよくする知性言語を身に
 つけさせるために、父母は、家庭内で、どんなコトバ使いをしていくとよ
 いのでしょうか。
 (知性言語については、本章、[11]コトバの力の伸ば し方、[13]本
 好きな子にする方法、の個所にくわしく書いています)


      
「子どもの健康管理について」


*お子さんは、起床から就寝まで、毎日、一日の行動順序が一定しています
 か。決まった行動順序のリズムになっていますか。起床時刻、洗顔、歯磨
 き、三度の食事時刻、就寝時刻など、毎日、一定のリズムを繰り返してい
 ますか。
*あなたのお子さんは、ストレスがたまるような生活、不規則な生活をして
 いませんか。生活リズムが乱れていませんか。あるとしたら、どんなとこ
 ろですか。どう対応していくとよいですか。
*最近の子どもたちは、ケガや骨折がしやすいと言われています。教師から
 学校でのケガ、骨折、身体不調の訴えなどの実態を報告しましょう。なぜ、
 そうしたことがあったのか、教師から報告しましょう。ケガや骨折、身体
 不調をなくすにはどうするか、家庭で配慮すべきことなどを語り合ってみ
 ましょう。
*あなたのお子さんは、身体の不調を訴えることはありませんか。ケガや骨
 折をしたことはありませんか。家庭での実態を報告しましょう。あったと
 したら、なぜ、そうしたことがおこったのか、父母からも報告しましょう。
*最近の子どもたちは、体格は良いが、体力が劣っていると言われています。
 どういうことから、そういうことが言われているのでしょうか。親として
 どう考えたらよいのでしょうか。その対策はどうしたらよいのでしょうか。
*家庭では、わが子の健康管理、健康増進にどんな気配りをしていますか。
 食生活で気をつけていることは何ですか。運動・体力作りではどうですか。
 清潔(手洗い、入浴、爪切り、着替え、洗濯)ではどうですか。


       
「授業参観の生かし方」


*あなたのお子さんは、親が授業参観に来ること、喜んでいますか、嫌がっ
 ていますか。
*本日の参観では、どんなことを見たいと思って学校に来ましたか。
*本日、家に帰ってから、わが子に、どんなことばをかけようとしています
 か。
 参観後、帰宅したら、親は、わが子にどんなコトバをかけると、上手な励
 ましになって、子どもが一層がんばるようになるでしょうか。
*親たちの昔の学校(教える内容、教え方、施設設備)と、今の学校(教 
 える内容、教え方、施設設備)とは、どんなことが大きく違っていますか。


        
「テレビの見せ方」


*あなたのお子さんは、どんなテレビ番組を好んで見ていますか。
*あなたに家では、テレビを見ることについて、どんな約束事がありますか。
*親が見てほしくないテレビ番組、見てほしい番組とは、どんな番組ですか。
*あなたのお子さんは、テレビの影響を受けていると感じますか。受けてい
 るなら、どんなことで、そう思いますか。
*テレビ番組を選んでみる習慣がついていますか。番組選択の決定権は誰で
 すか。
*一軒の家にテレビは何台ありますか。子ども部屋に子供専用のテレビはあ
 りますか。
*曜日によって違うでしょうが、一日、子どもはテレビを何時間ぐらい見て
いますか。


    
 「通知表の見方、受け取り方」


*(教師から)通知表のつけ方はこうなっています。こんな観点でつけてい
 ます、と説明します。各教科の評価段階はこうなっています。行動の記録
 は、こういう観点でつけています。など。
*みなさんは、通知表を受け取った時、子どもにどんなコトバをかけていま
 すか。何も言わないで見るだけ、という人もいるかもしれませんが。
*通知表を子どもから受け取った時の、親からのよいコトバかけ、悪いコト
 バかけ、どんなコトバかけがよいでしょうか。
*通知票を見て、不得意な教科には、どんなコトバをかけて励ましてやった
 らよいでしょうか。得意な教科には、どんなコトバをかけをしたらよいで
 しょうか。
*現行の通知表の形式(内容、項目)は、分かりやすいですか。分からない
 ところはありませんか。こんな内容、項目がほしいという要望はありませ
 んか。


      
 「お手伝いのさせ方」


*皆さんの家庭では、お子さんにどんなお手伝いをさせていますか。皆さん
 で出し合ってみましょう。予想されるもの。
 運動靴をあらう。玄関の掃除。トイレの掃除。 風呂場の掃除。掃除機を
 かける。自分のものを洗濯機で洗う。洗濯物を乾かす・とりこむ。新聞を
 とりこむ。買い物の手伝い。食器を運ぶ。食器を洗う。ご飯を釜でたく。
 お茶を自分でいれる。雨戸・シャッターの開け閉め。親の靴磨き。ゴミ集
 積所へゴミ出し。その他、どんな手伝いをしているか、出し合ってみまし
 ょう。その中から、わが家でもやってもらおう、が出てくる。
*お子さんは、お手伝いを喜んでしていますか。喜んでしているもの、嫌が
 ってしているもの、それはどんなお手伝いですか。
*お手伝いをした報酬として、何か与えていますか。報酬の是非について語
 り合ってみましょう。
*子どもがお手伝いをした後、親はどんなコトバをかけていますか。
*子どもに手伝いをさせると、どんな効果がありますか。
*自分から進んでお手伝いをするために、親はどんなコトバかけをしていま
 すか。
*最近の子どもは、昔と比べてお手伝いをしなくなった、と言われています。
 そのため不器用になったと言われています。不器用とは、どんな点から 
 そう言われているのでしょうか。親はどう対応したらよいのだろうか。


       
「お小遣いの与え方」


*あなたの家庭では、小遣いのわたし方はどうしていますか。毎月、毎週、
 毎日、その都度。いくらぐらいの金額ですか。
*お小遣いの使い方はどうしていますか。子どもにまかせていますか。
*お小遣いを与えたら、母親が全て預かっている家庭もあるでしょう。その
 場合の使い方はどうしていますか。
*子どもに経済観念(お金を計画的に使う、節約心、ものを大切に使う)を
 身につけさせるために、親が気をつけるべきことは何ですか。わが子にど
 う指導していったらよいでしょうか。
*高額な道具・器具などを買ってほしいと要求された時、あなたの家ではど
 うしていますか。


      
「上手な褒め方、叱り方」


*親は、わが子を、いつ、どんな時に、どんなコトバで褒めていますか。
*今まで、どんなことで叱ったり、注意したりしてきましたか。一番強く叱
 ったのは、どんな時ですか。
*いつも、子どもにやかましく注意したり、言ったりしていることは何です
 か。
*子どもを育てる上で、これだけは最も大切だ、しつけたい、身につけたい、
 と考えていることは何ですか。
*叱り方で、褒め方で、成功例、失敗例がありますか。ありましたら、話し
 て下さい。
*家庭で、父親(母親)が子どもを厳しく叱った時、他方の母親(父親)は
 子どもにどう対応したら、叱りの効果が上るでしょうか。あなたの家では
 どうしていますか。
*「叱るより褒めよ」と言われています。どういうことからそう言われてい
 るのでしょうか。あなたの考えを話してください。
*家族の中で、お互いに、褒めたり、感謝のコトバを言ったりしていますか。
 いつ、どんな時にそうしたコトバを言っていますか。感謝のコトバが気軽
 に出ていますか。
*良い子、悪い子、普通の子とは、どんな子どもを言うのでしょうか。その
 区別はどこにあるのでしょうか。


        
「習い事について」


*みなさんは、どんな習い事に行かせていますか。
*その習い事に、どんな意図から、*習い事に行かせているのでしょうか。
 実際の効果・効用はありますか。
*習い事の種類によって、行かせる時期、止めさせる時期のようなものがあ
 るようにも思われますが、あるんでしょうか。
*今の子どもたちは習い事や学習塾のために、子どもの遊びの時間がない、
 遊ばなくなった、友だちと遊ぼうとしても時間が合わない、家の中の一人
 遊びが多くなった、が現実となっています。どう思いますか。
*今の子どもたちは、昔の子どもたちのように集団遊び、学年を超えた子ど
 も同士の遊びがなくなった、と言われています。どう思いますか。


      
 「子どもの遊びの問題」


*あなたのお子さんは、いつも遊んでいる場所はどこですか。誰と、どんな
 遊びをしているかご存知ですか。
*下校後、外で遊ぶ時間は何時間ぐらいですか。
*外遊びからの帰宅時刻を決めていますか。何時にしていますか。
*昔の遊びと、今の遊びを比べると、どう変化していると思いますか。
*最近、友だちと遊ぼうとしない子、遊びたがらない子が多くなっていると
 言われています。なぜでしょうか。あなたのお子さんはどうですか。
*室内の一人遊びはよくないと言われていますが、なぜでしょうか。
*友だち選びに親が口出ししたことがありますか。
*家に遊びに来る子ども(他人のお子さん)の様子を見て、あなたのお子さ
 んと比べて、どう感じていますか。
*あなたのお子さんは、友だち関係で気まずくなったことはありませんか。
 あるとすれば、どんなことが原因でしたか。どう対応しましたか。
*大勢の子ども集団の中に入って遊んでいるわが子を観察したことがありま
 すか。大勢の中で行動しているわが子の行動の様子(していること、集団
 の中の役割・位置・上下や横の力関係など)はどんなでしたか。大勢の中
 で過ごしているわが子はどんな力関係の中の子だと思いましたか。
*最近、習い事や塾で子どもの遊び仲間が少なくなった、異年齢集団で遊ば
 なくなった、と言われています。あなたのお子さんはどうですか。
*誕生会を開催したり、招待したり、招待されたりする慣習について、あな
 たはどう感じていますか。


   
  「交通安全・防犯について」


*学区内の道路や遊び場で、危険な場所はありませんか。あるとすれば、ど
 この場所ですか。どう対応すればよいですか。
*近所の子どもたちで危険な遊び、不良行為をしていたのを見たことはあり
 ませんか。情報交換をしてみましょう。
*事故防止のため、親がいつもわが子に注意していることはどんなことです
 か。
*子どもの交通事故防止(道路歩行、自転車のり、スマホ歩きなど)で、親
 はどんな注意を与えていますか。手本を示していますか。
*電車やバスの車内で、わが子が行儀の悪い行為をしたとき、どのように叱
 って・指導していますか。他人の子どもがそれをしているのをあなたが見
 たとき、あなたはどうしますか。
*幼い子どもの誘拐が新聞やテレビで報道されることがあります。誘拐や痴
 漢の防止のため、わが子に、あなたは、どんなコトバで注意を与えていま
 すか。
*あなたの地域で、子どもの遊びで危険な場所、交通で危険な場所、不良の
 たまり場所などはありませんか。それはどの場所ですか。


      
 「非行防止について」


*学区内の地域で、こんな問題行動や非行を見かけた、他人が話しているの
 を聞いた、ということがあったら話して下さい。
*わが子が非行にはしらないために、あなたは、どんなことに留意して指導
 していますか。
*地域の「大人の一声運動」が言われます。一声運動とは、どんなことです
 か。大人は地域の子どもたちに、どんなコトバをかけたらよいのでしょう
 か。

     
 「子ども部屋について」


*あなたのお子さんは、子ども部屋・個室を持っていますか。
*子ども部屋を与えた場合、親が気をつけることは何でしょうか。
*子ども部屋を与えない場合、親が気をつけること何でしょうか。
*子ども部屋を与えることの、良い点、悪い点、はどんなことでしょうか。


    
「家庭における性教育のありかた」


*わが子から、性について質問を受けたことがありますか。それはどんな内
 容ですか。どう答えましたか。
*子どもから、赤ちゃんはどうして生まれるの、どこから生まれるの、と聞
 かれたことがありますか。年齢によっても違うでしょうが、どう返答すれ
 ばよいでしょうか。
*性差(男女の違い)について、わが子と語りあったことがありますか。
*今の子どもは性への目覚めが早くなっていると言われています。皆さんの
 若かりし頃と比較して、どんなところが早熟になっていると思いますか。
*性について、わが子に語るのは、恥ずかしい、自信がない、どう話せばよ
 いかわからない、という親が多いようです。恥ずかしい、はしたない、と
 いう意識があるからでしょう。どのように語っていけばよいのでしょうか。
*これまで、あなたは、お子さんに、性についてどんな話をしましたか。今
 の時期(当該学年・年齢)では、どんな内容を、いつ、どう話していくと
 よいのでしょうか。
*今の時期(学年・年齢)では、わが子の男女交際についてどう対応してい
 けばよいのでしょうか。
*今後、子どもが成長するにつれて、性についての内容を、いつ、どんな内
 容を、どんな方法で語っていけばよいのでしょうか。
*最近の週刊誌、月刊雑誌には、性記事や女性のヌード写真がはんらんして
 います。親はどう対応していけばよいのでしょうか。
*親子でテレビを見ていると、ラブシーンやベッドシーンが出てくる場合が
 あります。あなたはどうしていますか。どう対応していくとよいのでしょ
 うか。


      
 「平和教育について」


*平和な世の中(平和な日本、平和な世界)を築くために、親や教師は子ど
 もたちにどんなことを語っていったらよいのだろうか。
*戦争を実際に経験していない世代が父母になっている時代です。平和な世
 の中とは、どんな時代であるか。戦争の時代とは、どんな世の中であった
 か、戦争の悲惨さと愚かさについて、父母たちは、わが子 にどんなこと
 を、どのように知らせていったらよいか、考えさせていったらよいか。
*戦争の悲惨さについての資料(絵本、物語、写真集、絵画、資料館など)
 は、どこにあるだろうか。どうすれば手に入れる(閲覧する)ことができ
 るだろうか。あなたはこれまで、どんな資料で、どんなことをわが子に語
 って聞かせているでしょうか。
*各家庭では、どんな資料を使って、戦争の悲惨さについて考えさせていけ
 ばよいのだろうか。
*「平和な世界」は人類最大の目標である。「平和な日本」「平和な世界」
 であるためには、私たち(子どもたち)はどんな努力をしていったらよい
 か、世界の人々はどんな努力をしていったらよいか、わが子と語り合って
 みましょう。

*下記は、戦争を描いた児童文学作品・まんが・アニメ・映画です。
「ちいちゃんのかげおくり」  「一つの花」  「おかあさんの木」 
「ヒロシマのうた」  「川とノリオ」  「はだしのゲン」 
「かわいそうなぞう」  「ひろしまのピカ」  「ウミガメと少年」
「折り鶴の少女」  「ガラスのうさぎ」  「おこりじぞう」 
「猫は生きている」  「そして、トンキーも死んだ」 「アンネの日記」
「生きていた兵隊」  「子どものころ戦争があった」 「ホタルの墓」
「白旗の少女」  「火垂るの墓」  「消えた国旗」 「えんぴつびな」
「神風特攻隊の出撃」  「入歯をしたロバの話」 「ひろしまのピカ」
「8月がくるたびに」  「ぼんぼん」  「おはきじきの木」
「トビウオのぼうやはびょうきです」 「ゆみ子とつばめのおはか」
「戦争と平和」子ども文学館・全20巻・別巻1巻
  など。
上記は、ほんの一部です。インターネットで調べたり、図書館の司書に問い
合わせたりしてみよう。

          
参考資料(1)

 下記は、毎日新聞(2015・3・17)投書欄「みんなの広場」に投稿されて
いた記事です。

        忘れられぬ1945年3月17日
               無職 後藤弘蔵 81(神戸市垂水区)

 20年前の1月17日の阪神大震災、4年前の3月11日の東日本大震災。忘れが
たい回顧録が報じられるが、ずっとさかのぼって忘れられないのが70年前の
1945年3月17日、神戸大空襲である。
 その前年に学童疎開が始まり、私は紀州の田辺に縁故疎開した。その頃か
ら米軍機B29による空襲が頻繁になり、紀州水道上空が阪神地区への侵入経
路に。親と死に別れる恐れから私は神戸の親元に帰った。そして大空襲に遭
遇した。
 焼夷弾が雨あられと投下され、自宅が燃えるのを見て猛火を避け、下水道
に逃げ込んだ。家に戻ると焼け跡に焼夷弾の殻が何個も見つかった。近隣で
は爆死者も出た。東京、大阪に続く大空襲で、九死に一生を得た日だ。
 悲惨な戦争体験を語れる人も少なくなっている。こうした戦災の悲劇は繰
り返してはならない。絶対に忘れられない日である。


           
参考資料(2)

 下記は、朝日新聞(2015・3・17)投書欄「声」に掲載されていた記事で
す。

     東京大空襲 死体に慣れる怖さ
                無職 高津利明 (埼玉県 84)

 45年3月、私は学徒動員されて東京都の東部にあった下町の工場でゴム
部品を作っていた。10日未明、約300機の米軍B29爆撃機による空襲
で、下町一帯は火の海になった。大火災は朝まで続いた。夜明け前なのに、
新聞が読めるほどの明るさだった。
 東京北東部の荒川区にあった我が家は焼失を免れた。私はアスファルトが
プスプスと音を立ててくすぶる道路を歩いて、工場に向かった。
 途中から、道に転がる黒こげの死体が目立ってきた。隅田川の橋の上も焼
死体がいっぱいで、歩くのが大変だった。多くの死体は川面を埋め尽くして
いた。
 最初は怖かった死体も次第に慣れてきた。このような感覚の鈍化こそが戦
争の怖さなのだと、今になって思う。
 工場は跡方もなく焼け落ちていた。高台から周囲を見た。目の届く限り焼
け野原だった。まだ煙が立ち昇っていた。上野のデパート松坂屋、両国の国
技館などコンクリートの建物が見えた。
 一夜にして約10万人が犠牲になった東京大空襲。その後も全国で空襲は
続き、広島と長崎への原爆投下へつながっていく。



          
 参考資料(3)

 下記は、朝日新聞(2015・3・14)投書欄「声」に掲載されていた記事で
す。

     大空襲の下町に住んで思うこと
              会社役員 鈴木和美 (東京都 45)

 東京大空襲があった墨田区から、やはり被災した台東区に移り住んで12
年になります。以前いた墨田区では、東京大空襲の慰霊堂近くで子どもを遊
ばせていたのにあまり意識せず、どのような事実があり、どんな悲惨だった
かは知らずに過ごしてきました。
 戦後70年の今年、ようやく新聞などの報道で自分の住む街にかつて何が
あったのか関心を持つようになりました。今の場所に住んでいなければ、大
空襲はずっと言葉だけの出来事だったでしょう。子どもたちに伝えなければ
という思いも、薄っぺらな形だけのものだったと思います。
 戦争を体験された方々は、私たちには考えられない生活をしてこられまし
た。それをどんな形で語り継げば後世まで風化させずに残せるのか、戦争を
知らない世代ばかりになっていくことは恐ろしいことなのではないかと考え
ます。
 東京スカイツリーを見ながら隅田川を散歩する時、戦時中の空気と景色を
いつも意識しようと思い直しています。戦後70年を機に多くの人々が戦争
を考え、関心を持つことができればいいなと思います。



           
参考資料(4)

 下記は、東京新聞(2015・3・27)投書欄「発言」に掲載されていた記事
です。

       掘り出した教科書は宝物
             無職 佐藤信夫 84(東京都八王子市)

 昭和二十年三月十日、東京大空襲での被災者は百万人を超えたと言われて
いますが、私もその一人です。空襲で推定十万人もの尊い命が奪われた、と
言われています。
 当時十四歳の私は父とともに布団を頭からかぶり、焼夷弾で燃える家を飛
び出しました。真っ赤に燃える空からトタン板が何枚も何枚も音もなく舞い
降りてきます。いつ頭にぶつかってくるかと震えながら、空を見上げていま
した。
 やがて、火の勢いも弱まったので、燃え尽き、跡形もないわが家に戻りま
した。大事にしていた本箱と本、机は灰となっていました。当時、子どもの
心にも大事な物であった通信簿と上級生からのお下がり教科書を埋めた庭を
掘り返して、宝物を得たかのように喜んだのをはっきりと覚えています。
 紙不足の時代で、先輩の名前が記入されている教科書は貴重品で、墨で消
して自分の名前を父に書いてもらったのを鮮明に記憶しています。今の子ど
もたちには想像もできない、あの時代のつらい思い出です。



           
参考資料(5)

 下記は、東京新聞(2015・9・25)投書欄「発言」に掲載されていた投稿
記事です。
        
中国での虐殺 父の心に傷

            大学院生 富田幸子 63(さいたま市西区)

 私の父は15年前に83歳で他界しました。20歳から8年間、日本軍兵
士として、中国大陸で戦っていました。ほとんど戦争の話はしませんでした
が、1968年のベトナム戦争でソンミ村虐殺事件が報道されたとき、「こ
んなことは、中国大陸では日常茶飯事だった」と口を開いたのです。
 中国の農村では、若い女性を除き村民全員を一軒の家に押し込め火をつけ
て焼き殺す。屋根を突き破って出てくる村民を銃で撃ち殺す。若い女性を凌
辱後、命を奪ったそうです。
 一人でも生かすと中国兵に知らせ、自分たちがに皆殺しになるからだそう
です。「殺すか殺されるか、それが戦争、殺されたくない、ただそれだけで
普通は善良な人間が狂う」と言っていました。
 父は突然、家族に暴力を振るうことがり、許せませんでした。最近、戦争
の帰還兵が心的外傷後ストレス障害(PTSD)により、家族に暴力を振る
うことを知りました。「お父さんもずーっと辛かったんだね、暴力を振るっ
たことは許すからね」と今年のお盆のお墓参りには手を合わせました。


           
参考資料(6)

 下記は、東京新聞(2015・3・27)投書欄「発言」に掲載されていた記事
です。
      
 物言えぬ時代深い恐れ
             無職 前田和代 87 (東京都中央区)

 今でもまざまざと思い出されるのは、三月十日の東京大空襲による犠牲者
の焼死体がトラック上の丸太のように積み上げられ、真っ白な素足を後ろに
並べて運び去られる光景です。
 犠牲者の綺麗な素足? 死者にはもう不用の靴や靴下を必要とした人が…
…ということでしょう。
 今も大災害によって多くの犠牲者が出て、無残なことですが、それでもそ
の方々は人として丁寧に扱われ、葬られています。それは今が平和な時代だ
から。戦中でも親族や知人によって捜し出された方もあったでしょうが、ご
くわずかなはずです。
 焼け出されても仮設住宅はないのです。あのトラック上の方々はどこに眠
っておられるのでしょう。
 それ以上に、他国で無意味なむごい死を迎えられ、今なお置きざりにされ
たままの戦死者は……。
 未来を考えられずにいた私が、戦後七十年を生き延びて感じるのは、今、
物言えぬ時代になりつつあるということ。それを深く恐れます。人は人とし
て生きて生を全うさせてほしいのです。


           
参考資料(7)

 下記は、東京新聞(2015・3・27)投書欄「発言」に掲載されていた記事
です。
       
死者の無念 平和の思い伝え
             無職 金田昌子 86 (東京都板橋区)

怖さも悲しさも感じず、私はぼんやりと立っていた。足元から周りは真っ
黒に焼かれた人々の亡がら。昭和二十年三月十日の明け方、見える範囲の焼
け野原に動いている人はいない。
東京大空襲の火炎地獄の中、本所菊川町で両親と私十六歳は生き残った。
姉は亡くなった。近所の人たちや友人の一家は、殆ど全滅状態。そして十万
余の亡がらは数日間で片づけられた。国民がこんな残酷な殺され方をされて
も、なぜ戦争をやめないのか憤りが込み上げてきた。
私は平和活動をしている市民グループなどから戦争体験を後世に伝えてく
れと依頼され、十年ほど前から念い二、三回講演している。亡くなられた
方々の無念の思い、平和の大切さを訴えたい思いで体験談と平和の尊さを語
ってきたが、何分高齢になった。
戦争を知らない平和の中で育った方々は幸福だが、戦争がどんなに残酷な
行為なのか知ってもらい、平和を培ってきた憲法も死守しなければと願って
いる。現在の私は、戦争犠牲者に対して慰霊と感謝のお経の生活だ。



           
参考資料(8)

 下記は、東京新聞(2015・3・16)投書欄「発言」に掲載されていた記事
です。   
     
大空襲の犠牲語り継がねば
             主婦 太谷照美 52(東京都江東区)

 東京大空襲から七十年の時が経過して、風化を心配する声が聞こえます。
江東、墨田、台東区は特に犠牲者の多かった地域です。
 その江東区の森下五丁目町会では、大空襲の犠牲者が七百七十三人の名前
を記載した六メートルの巻物を、町会長が代々受け継ぐのだそうです。同じ
姓が多く、多くの家族が犠牲になったことが分かるとのことです。今年は犠
牲者の名を刻んだ碑の除幕式も行われました。
 米軍の爆撃で一晩にして十万人が命を落としたこと。日々生活している街
が突然戦場になる恐怖。約三百機のB29爆撃機が三十三万発の焼夷弾を投
下した無差別殺戮。こうした事実を七十年という節目の年だけでなく、語り
継いでいかなくては、平和の土台が崩れてしまうと感じています。



            
参考資料(9)

 下記は、東京新聞(2015・3・4)投書欄「発言」に掲載されていた記事
です。
     
平和の尊さを次世代に語り継ぐ
            高校生 森山直樹 17(東京都三鷹市)

 第二次大戦中のナチスのホロコーストは、ユダヤ人や反ナチの人たちを強
制連行し、大量虐殺するという凄惨なものでした。今年1月27日は負の世
界遺産であるアウシュビッツ強制収容所が解放されて七十年を迎えた日でし
た。
 私はこの日、テレビで、七十年ぶりにアウシュビッツをおとずれたという
八十代男性が「再びここに来る勇気が持てるとは思わなかった。母はここで
殺害されたのだ」と言うのを聞き、重く受け止めました。このようなつらい
経験をした人が多数いたという事実を私たちは忘れてはなりません。
 現在は戦争の悲劇を伝える体験者は年々高齢化し、減少しています。今の
世界は過去の数えきれない犠牲が基にあります。そして、次世代に平和の種
を植えるのがわれわれの使命であり、その覚悟を持たなければばならないの
です。


            
参考資料(10)

 下記は、毎日新聞(2015・3・19)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。
       
地域独自の平和教育が必要
             大学生 柳沢公平 22(東京都杉並区)

 今年の3月10日は東京大空襲から70年目という節目に日だった。恥ず
かしながら、私は20年以上東京に住んでいるにもかかわらず、3月10日
が何の日なのか、つい最近まで知らなかった。
 広島や長崎に原爆が投下された日や終戦記念の日付は小中学校で習った一
方、東京大空襲に関する情報を教育機関で耳にした記憶はあまりない。だが、
その史実を知れば知るほど、3月10日が都民にとって忘れてはならない日
と実感する。たった一日で10万人もの人が命を落としたのだから当然だ。
 そこで考えたのだが、学校の所在する地域ごとに、平和教育に関するカリ
キュラムを独自に作ってみてはどうだろうか。太平洋戦争中、東京以外の都
市も空襲で壊滅的な被害を受け、多くの人が亡くなった。その地域に生きる
市民として、「忘れてならない日」を次代に継承していくことの意義は決し
て小さくない。


          
 参考資料(11)

 下記は、毎日新聞(2014・8・13)投書欄「みんなの広場」に掲載されて
いた記事です。
       
平和のための私ができること
               中学生 高岡実希 13(大阪府茨木市)

 平和な世界を築くために自分ができると思うことは二つあります。
 一つは、戦争や原爆について知ることです。私たちが同じあやまちをくり
返さないために、戦争や原爆のこわさを知り、平和や命がどれだけ大切なも
のであるかを考えることが大切だと思います。
 もう一つは、みんなと仲良くすることです。戦争が起こったのは、世界の
国々が仲良くしなかったからだと私は思います。だからといって私が国同士
を仲良くさせることはできないので、まずは周りのみんなと仲良くしていき
たいと思います。
 そういうことを一人一人が意識すれば、みんなが仲良くなり、やがて世界
中に広がっていくのではないでしょうか。そして、世界で一つの輪ができれ
ば戦争が起こらなくなると思います。だから、私は自分のできることから実
行し、命を大切にして生きていきます。



        
「スマホの与え方」


*皆さんは、わが子にスマホを使わせていますか。使わせていませんか。使
 わせている方は、どんな理由から使わせているのですか。わが学級では、
 何割ぐらいがスマホを使わせているのでしょうか。
*いつから、わが子にスマホを使わせていますか。使わせる時期はいつがよ
 いのでしょうか。
*親と子で話し合って、スマホの使い方のルール(きまり)を作っています
 か。
*ルールを作っているとすれば、どんなルールですか。ルールは守られてい
 ますか。
*フィルタリングを設定していますか。
*アプリに利用制限できるアクセスガイド設定をしていますか。
*アプリのダウンロードはだれがしていますか。子どもに任せきりですか。
*ずいぶん昔から「テレビに子守りをさせないで」と言われています。現在
 では「スマホに子守りをさせないで」と言われています。そういわれない
 ためには、親はどんなことに配慮すればよいでしょうか。あなたは、どう
 対策を立ていますか。
*スマホは悪い面ばかりでなく、良い面もあります。親子のコミュニケーシ
 ョンの道具として役立ちます。連絡、会話、通信、遊び、ゲーム、学習な
 どで有効活用ができます。皆さんのお子さんは、どんなアプリで、どんな
 使い方をしていますか。
*スマホの4大トラブルというのがあります。アプリの勝手なダウンロード、
 LINEやゲームの、のべつ幕なしのやり続け依存症、ツイッターで他人
 になりすましての書き込み、思慮のない写真・動画のサイトアップなどが
 あります。これらの防止策に、親はどのように対策を講じていったらよ 
 いのでしょうか。
*スマホのリスクについては、いろいろ言われています。トラブルで多いの
 は、誹謗中傷、無断で写真や個人情報を転送された、仲間外れにされた、
 出会い系サイトへ勝手に登録された、いじめへの加担、リベンジポルノの
 被害を受けた、SNSのなりすまし勧誘を受けた、ストーカー被害を受け
 た、配信した写真・動画を悪用された、など。こうしたトラブル防止につ
 いて親子で話し合ったことありますか。防止策のルールを取り決めていま
 すか。
*スマホの利用時間の、時間決めのルールを親子で話し合って決めています
 か。守られていますか。
*スマホの代金は月いくらぐらいですか。だれが支払っていますか。


          
参考資料(1)

 下記は、朝日新聞(2015・3・18)投書欄「声」に投稿されていた記事で
す。

     子どもにスマホ 判断に迷う
                主婦 百田敦子 (東京都 42)

 昨日、小学6年の息子が帰宅するなり言いました。「友だちに、スマホ買
ってもらえなくてかわいそうって言われた」。私は驚きました。それほど子
どもがスマホを持っているのが当たり前になっていたとは。
 そういえば最近、スマホがほしいと言っていたのを思い出しました。たし
かに、スマホがあれば直接連絡がとれるし、ゲームもできるし楽しいでしょ
う。親としても安心だし便利です。でも、私はまだ息子にスマホを買ってあ
げる勇気がありません。目の届かない所で誰かと連絡をとるのが怖いのです。
 もちろん息子の自主性を尊重して、成長の過程を見守ることも大事だと思
います。お友達から誘ってもらえなくなったらそれこそかわいそうです。
 息子は来月から中学生です。スマホを持たせるか持たせないかは親の判断
ですし、子どもがどのようにスマホを使っても親の責任だと思います。結論
を出すのは難しいと思いますが、結局メリットとデメリットをはかりにかけ、
息子の意見をプラスしてスマホを持たせることになるような予感がしていま
す。


          
参考資料(2)

 下記は、東京新聞(2015・4・1)投書欄「発言」に投稿されていた記事で
す。
       
 生活支配するスマホ規制を
              高校生 成川圭史 16 (東京都国立市)

 「勉強することが仕事」と言ってもいい高校生として、今のスマートフォ
ンの異常な普及には不安を感じる。最近の高校生の生活を知っているだろう
か。学校の休み時間は、たとえ十分間の休み時間でさえスマホをいじって
ゲームをしている。家に帰ってもネット上の交流サイトで友達と会話をし、
寝る前まで続く。
 これを見ると、今どきの高校生たちの一日はスマホに支配されているとい
える。本来なら勉強したり、本を読んだり、運動したり、いろいろなことを
して大人としての自分を構築していく時期である高校生が、スマホの支配さ
れているだけでは、幼稚な大人の大量発生を招くだけだろう。
 日本の将来のためにも親や学校が、スマホを規制することが必要だ。


         
 参考資料(3)

 下記は、朝日新聞(2015・3・16)投書欄「声」に投稿されていた記事で
す。
      
ファミレスで家族中スマホとは
               無職 田中秀隆 (神奈川県 78)

 日曜日の昼どき、ファミリーレストランに妻と入った。料理を待っている
間に家族連れ6人が向かいの席に座った。母親と高校生らしき男の子、男児
と女児が3人。さらに、おばあちゃんと見られる人がテーブルの端の席につ
いた。
 席についた子どもたちは一斉にスマートフォンを取り出し、指を動かし始
めた。子どもたちは、メニューを熱心にみることもない。母親が適当に注文
しているように思えた。
 料理が来るまで、母親もスマホに熱中していた。あばあちゃんは退屈しの
ぎなのか、誰かに電話をしていた。やがて料理が並べられたが、食べ始めて
も子どもたちはスマホをのぞいていた。
 その家族は食事が終わっても誠に静かで、会話は相変わらずない。私たち
夫婦は顔を見合わせた。母親の「じゃ帰るわよ」というひと言で、彼らは店
を出て行った。そのときも、まだスマホをやっていた。
 40年前、わが街に初めて開店したファミレスに育ち盛りの3人の子どもた
ちを連れて行って、食事をしたときのことを思い出した。料理がテーブルに
置かれるたびに、子どもたちは歓声を上げた。彼らに、そのときのことを聞
いてみた。「うれしかったことは忘れていないよ」という返事だった。
 時代が違うといってしまえばそれまでだが、どっちの時代が子どもたちに
とって幸せなのだろう。みなさんは、どう思われますか。



          
参考資料(4)

 下記は、毎日新聞(2015・3・21)投書欄「オピニオン」に投稿されてい
た記事です。
        
スマホ様々の世の中に一言
              無職 荒木雅子 64 (福岡県西区)

 地下鉄に乗れば半分以上の老若男女がスマホに見入っていて、これが当た
り前の光景となってきた。私たちが若い頃とは隠世の感がする。レストラン
やツアーで食事をする際にも運ばれてきた料理を一品ずつスマホで撮る人も
増えている。
 自分の料理ならまだしも、メニューの違う他人に対しても「ちょっと写さ
せてください」と言うが早いかシャッターを切る。おいしい料理を落ち着い
て食べようとする気持ちの水をさされた思いで嫌な感じがする。食事は目や
舌などでめでて味わうものだと考えている私たちはもう時代遅れなのか。
 しかし、周囲の横やりで集中できないことはやはり理不尽であるし、モラ
ルの問題ともいえる。最近では大学の授業で黒板に書かれる内容をノートに
記入せずに、スマホで写す学生も多いとのこと。自ら書き写してこそ頭に入
っていくのではと思うのだが。便利なスマホなれど功罪の罪の面も多い気が
する。


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