父母と教師に役立つ学級懇談会の話材集    2015・2・23記





       
親が子にする性教育





    
寝た子を起こす必要がないのでは?

  

    
性については、子どもはひとりで自然におぼえていく
    もので、性について教えることは寝た子を起こすよう
    なものだ、性教育は必要ない、という意見があります。
    どう考えればよいですか。



 確かに親としては、そのような考えを抱くのも分かります。小さい時から
性教育をすれば、早くから性に目覚め、性にませた子になり、街中にあふれ
ている性情報にあおられ、みだれた行動をするのではないかという危惧をも
つことでしょう。大多数の親は、わが子がいつまでも性に関心のないことを
願い、性刺激から離れさせようとし、性に無知であってほしいと願っている
のではないでしょうか。
 しかし、現在の子どもたちの身体的な性機能の発達の加速化現象はめざま
しいものがあります。親がわが子に性に無知であってほしいと願っても、そ
れを止めることができないところにきています。
 総理府の調査(1981年)によると、女子の初潮は中一で60%、中二で8
5%、中三で98%となっています。男子の精通は、中一で31%、中二で
60%、中三で81%、高一で91%となっています。オナニー経験の年齢
では、男子は中一で25%、中二で51%、中三で73%、高一で91%で、
女子は中学生では十%台で、20才になって40%台となっています。妊娠中
絶件数は、総数は年々減少傾向にあるのに、十代の件数は増加傾向にありま
す。
 日本性教育協会の調査「青少年性行動調査」(1999年)によると、精通は
中学男子52%、高校男子88%で、月経は中学女子83%、高校女子96
%となっています。性交体験は中学男子4%、中学女子3%で、高校男子2
6%、高校女子23%となっています。キス体験は、中学男子13%、中学
女子12%で、高校男子41%、高校女子43%となっています。
 こうした子どもたちの性機能や性行動の早熟化現象のほかに、街中には興
味本位、面白半分のゆがんだ性情報があふれています。携帯電話やパソコン
の普及によりインターネットで、手軽に興味本位の性知識や性映像を見るこ
とができるようになっています。大人の週刊誌や雑誌でも性愛シーンが容易
に目にすることができます。子どもたちの性非行もマスコミで話題になって
ひさしいです。
 十代の女子は、こう言います。「学校でも、家庭でも、性については肝心
なことはきちんと教えてくれない。雑誌から知識を得るしかない。少女雑誌
は、性についてのわたしたちの教科書です」と。
 子どもに性について無知にしておくことは時代おくれです。無知が原因で
性の問題行動を起こすよりも、性について正しい知識を与えることのほうが
ずっと大切です。性に関する知識面と道徳面を教え、愛を引き離すのでなく、
愛を育てていく指導こそが大切です。男女の特性を理解させ、二人の愛と信
頼を深め、相互に協力し合って愛を育てていくように指導することが大切で
す。
 性教育というと下半身だけの教育を考えがちですが、性教育とは男女の科
学的な性差を理解させて、健全な性的行動と人間関係を育成することにあり
ます。性交(How to Sex)は親が教えなくても子どもはひとりで覚えるで
しょうが、両性のちがいを正しく理解し、人間として望ましい性的行動をし
ていく人間関係を築くには、親や教師がきちんと指導していく必要がありま
す。


      
性の質問の受け方、答え方


  

    
親は具体的にどう指導していけばよいかが分からない
    というのが本音です。
    性について語るのは恥かしい、性は低俗なもので、隠す
    べきものという考えがあり、どうしてもわが子に口に出
    して語ることができません。どうしたら、いいんでしょ
    うか。


 性はみだらな行為で隠すべきものである。性はヒワイなもの、はしたない
ものもので、隠微なかたちで扱うべきものである。こういう考え方が根強く
あります。親は性を秘め事として理解しているのが普通ですから、子どもに
「赤ちゃんはどこから生まれてくるの」と質問されると、ドキリとしてうろ
たえてしまいます。ある母親は「へんなことを聞くんじゃありません。いま
に大きくなったら分かります」と答えたりします。ある母親は「お父さんに
聞きなさい」と言い、お父さんは「お母さんに聞きなさい」と押しつけっこ
になったりもします。ある母親は「おなかが割れて生まれてくる」とか「コ
ウノトリが運んでくる」とかウソの返事をしたりします。
 人間の誕生という厳粛な事実を、ウソでごまかしたり、うろたえて恥ずか
しがったりして隠すような態度をすれば、それを聞く子どもも、恥ずかしい
もの、いやらしいものという受け取り方をしてしまいます。
 
 子どもが性に疑問を抱き、質問するようになったら、親は隠さないで、自
然な態度で、明るく、さりげなく、ほんとうのことを、年齢や発達段階に応
じた語り方で、説明するようにしましょう。子どもから「赤ちゃんはどこか
ら生まれてくるの」と質問されたら、「おしりのところにウンチの出てくる
あながあるでしょう。おしっこの出てくるあなもあるでしょう。女の人には、
ウンチの穴と、おしっこの穴のほかに、もう一つ赤ちゃんが生まれてくる穴
があります。そこの穴から赤ちゃんが生まれてきます」と答えます。そうす
れば子どもは「フーン」と言って納得し、何事もなかったように別の話題に
話しを移していくか、遊びに行ってしまうことでしょう。



     
ヒューマン・セクシャリティーとは?
 

   

     
性教育で、ヒューマン・セクシャリティー
     (human sexuality)ということが言われて
     います。分かりやすく説明してください。


 ヒューマン・セクシャリティーとセックスとを区別することがとても大切
です。誤解を恐れずに簡単にいえば、セックスは下半身、産婦人科や泌尿器
科に属する側面のことであり、ヒューマン・セクシャリティーはそれをも含
めて精神科(上半身)に属する広い範囲のことだと言えます。性教育は、セ
ックスの教育としてでなく、ヒューマン・セクシャリティーの教育として理
解し、教えることが大切です。
 もう少し説明を加えましょう。セックスとは性器、性交、妊娠、出産とい
う生理的側面が強い部分のことを言います。ヒューマン・セクシャリティー
とはセックスよりも意味が広く、人間の性にかかわるすべてを指し、性の文
化的、社会的な側面をも含めて言います。
 ヒューマン・セクシャリティーとは、人間性全体の中で、性を総合的につ
かもうとする概念です。性を人間の生き方にかかわる問題まで含めて考えよ
うとすることです。性教育について語るとき、性をセックスだけに限定しな
いで、ヒューマン・セクシャリティーとして愛を育てていく性の問題として
指導していこうということです。
 以前、性教育は純潔教育と呼ばれ、性を狭くとらえ、抑制的に、禁欲的に、
消極的に指導しようとする傾向がありました。草花のめしべやおしべの指導
ですましてしまったり、初潮指導や性病予防指導でお茶を濁していた時代が
ありました。
 性教育は、性知識注入指導だけではありません。性知識を通して、両性の
相互理解を深め、両性の平等な人権を尊重し、両性を敬愛する気持ちを育て、
思いやり、いたわりの気持ちを育て、よき人間行動を育てることにあります。
 性は人間愛の問題として理解していくことです。性を教えることは、人間
としての生き方を教えることです。動物とは違った人間らしい性行動のあり
方を教えることです。


         
男女交際のあり方


 

   
中学生、高校生の男女交際は、どうであればよいのでしょう
   か。最近の若者はオープンに交際しております。手をつない
   で楽しそうに歩いています。わたしの若い頃は一緒に並んで
   歩くなんてとてもとても、1メートルほど離れて別人のように
   して歩いたものでした。閉鎖的に育った親は、どう指導した
   らよいでしょうか。


 中学生・高校生の男女交際について、親が「特定異性との交際はまだ早い。
だから、やめなさい」と禁止することは簡単です。しかし、男女の仲という
ものは、禁止されて「はい、やめます」と容易に交際をたつことができるも
のではありません。
 親は、次のような助言をしながら二人の愛を育てていくようにするのがよ
いでしょう。

(1)特定のボーイフレンドやガールフレンドを作るのではなく、できるだ
け多くの異性と触れ合う機会を作り、異性というものを十分に理解し、人間
の幅を広げることが大切です。たくさんの異性とオープンに触れ合い、友情
を育て、異性について知ること、目を肥やすことが、あなたたちには大切で
す。

(2)お付き合いしている異性を親に紹介しなさい。かくれて、こそこそ付
き合うのはやめましょう。双方の親の公認の下で交際しましょう。家族ぐる
みで付き合うようにしましょう。

(3)異性と交際する時は、お互いに相手をいたわり、やさしい心づかいで、
愛情のこもった思いやりの気持ちで接するようにしましょう。異性と付き合
うときはもちろん、同性と付き合うときも、いちばん大切なことは、思いや
り、いたわりの気持ちです。

(4)異性と交際すると、毎日が活気にあふれて楽しくなるでしょう。しか
し、そのことで勉強のことがアタマから抜け落ちて、成績が下がることがあ
ります。勉強のことも二人の話題にして、成績が上がるように協力して励ま
し合ったり協力し合ったりすることが肝心です。異性との交際が成績アップ
にはたらくようにがんばりましょう。

(5)男性と女性との愛情のとらえ方の違い、性行動の違いを分かって付き
合うことが大切です。女性は好きな男性と一緒にいるだけで満足します。女
性は好きな男性と一緒に話したり、映画を見たり、音楽を聞いたり、スポー
ツをしたり、散歩をしたりすることでお互いの愛情を確認し、それで満足し
ます。女性はムード派で、二人の愛情に満ちた関係があれば、それで満足し
ます。
 これに対して男性は、ムードを求めることもするが、からだの内面からつ
きあげてくる強い性衝動があり、肉体的接触、生理的快感を求める傾向にあ
ります。女性は男性と手を握っているだけで満足するが、男性はわきあがる
性欲があって、性交を求め、肉体的な接触で愛情を継続させようとする傾向
があります。男女交際では、男性と女性との、この違いをよく理解して付き
合うことが大切です。

(6)思春期になれば、異性を好きになります。好きになると、手を握って
みたくなるし、手をつないで散歩をしてみたくなるし、抱き合ってみたくな
るし、寝てみたくもなるでしょう。男女の仲では、こんな場面もよくありま
す。男性が「ぼくを愛しているなら、セックスしてもよいだろう。」と言い、
女性は特に断る理由もないし、断って嫌われるならと不安になり、その場の
なりゆきで性交してしまう、それで赤ちゃんができてしまう、ということに
もなります。
 こういう場面では、はっきりと「ノー」と断るか、避妊することです。親
は男の子には、「あなたはちゃんとコンドームをつけなさい。男として責任
のある行動をしなさい」と、はっきりと言いましょう。きちんと避妊方法を
教えておくことです。コンドームを使用すべきことを教えておきます。「相
手の女の子を妊娠させちゃいけない」と、はっきりと教えます。「コンドー
ムをしたって、確実な避妊にはならないときもあるんだよ」とも教えます。
 「もし赤ちゃんができたら、どうするの、あなたの人生に大きな傷がつく
のよ。どうやって生活していくの」なんて言う説教だけではダメです。人工
妊娠中絶について語って聞かせましょう。人工妊娠中絶の母胎に与える恐さ
を語って聞かせましょう。
 親は二人の交際の進行状況をよく観察しておきましょう。これはという場
合がありそうと感づいたら、機先を制して、機先を制してですよ、相手より
先に行動を起こします。親が性交までありそうと薄々気づいたら、即刻、男
子に、女子に、これを使いなさいと、コンドームをわたすことです。
 女の子には、避妊をしないような男の子はあなたを愛していません。一時
の性欲のはけぐちにしているだけであることを教えておきます。もてあそば
れて、ボロボロな女になってしまうだけよ、と教えておきます。


            
参考資料

 下記は、朝日新聞(2014・12・22)の投書欄「若い世代」にあった投稿記
事からの引用です。高校生からの投稿です。名前が、葉月さん、ですから多
分、女子高校生からかと思われます。父母の皆さんは、どう思いますか。懇
談会で話題にしてみましょう。

     ラインでの告白 どう思う?
               高校生 18 与五沢 葉月 (静岡県)

 携帯電話のアプリの一つ、LINE(ライン)。私の周りでは、利用してない
人が珍しく感じられるほどだ。いつでも、どこででも会話ができて、メール
よりも手軽なことが、人気の理由の一つだろう。
 あるとき、友達に「ラインで告白された人とつき合ってるんだ」と言われ
た。つき合うまで、彼氏とは一度も顔を合わせたことがなかったらしい。私
は「そうなんだ」と口では返事しつつも、頭の中では「一度も顔を見ていな
い人に告白されて、うれしいものなのかな」という考えがぐるぐる回ってい
た。
 その彼氏にどんな意図があってラインで告白したのかは分からない。恥ず
かしいから、楽だからなど理由は様々かもしれないが、技術に頼りすぎでは
ないだろうかと思った。言いにくくても、勇気を出して直接言うことに意味
があると私は思う。
 ラインでの告白。あなたはどう考えますか。




      
家庭での性教育のありかた


   

     
家庭では、どんな性教育をしたらよいでしょうか。
     実例を挙げて具体的に分かりやすく説明してくだ
     さい。



 家庭では、朝おきてから寝るまでが性教育をしているといってよいでしょ
う。まず、夫婦の仲のよい姿を、子どもに見せてやりましょう。幸福な結婚
とはどういうものかを、ありのままの仲がよい姿を子どもの目に触れさせた
やることです。夫婦が相互理解し敬愛しつつ協力しながら生活のやりくりを
している姿を見せてやります。幸福な結婚とは、どういうものかを見本・実
例で示してやることです。また、不幸な結婚とはどのようなものか、その悲
劇性を、新聞や雑誌や週刊誌、テレビの報道などの例を上げて、機会をとら
えて、語って聞かせるようにしましょう。
 性教育は、幼少期から始めるのがよいのです。幼少期は性について無邪気
で純真です。幼少期は、マスメデアや友だちからのへんな情報がなく、性に
鈍感で、いやらしい感じをもっていません。親の性についての話を、みだら、
わいせつと受け取っていません。親子で一緒にお風呂に入ったとき、性につ
いて語って聞かせるよい機会です。親子でハダカになりながら、次のような
会話をしましょう。
 からだのしくみについて語って聞かせましょう。ここが口、ここが食道、
このへんが小腸で、ずうっとくだになっていて、ここが肛門(おしり)です。
口から食べたものが、このように通ってきて、からだに栄養を送りカスがウ
ンチとなって、おしりから出てきます。このへんに心臓があって、赤い血を
からだ全体に送りだすポンプの役目をしています。ポンプの音が聞こえる
よ、、私の胸に耳を当てて聞いてごらん。このへんに腎臓があって、オシッ
コを作るところです。このへんに卵巣があって、赤ちゃんの卵を作るところ
です。このへんに子宮があって、おなかの中で赤ちゃんを育てるところです。
 一緒にお風呂に入りながら、「クイズをだすよ。男と女のからだの違い、
どこが違う?」と、問いかけます。男性器(オチンチン)と女性器(ワレメ
ちゃん)の違いを、実際に両足をひろげて「どうなっているか、みせっこし
よう」と見せ合いながら理解させます。赤ちゃんがいれば、おしめをとりか
える機会をとらえて語り合うのもいいです。開放的に、あっけらかんとのぞ
きこみながら、両性器の違いを理解させます。幼少期は、性器を目や耳や鼻
と同じものとしてしか考えていません。「フーン、そうか」と言って、それ
で終わりです。下劣、わいせつと考える親の方が、下劣、わいせつだと言え
ます。
 幼少期は、性についてニュートラルで、いやらしさやわいせつ感がなく語
れる時期です。おしっこの出口、ウンチの出口、女性には赤ちゃんの出口も
あることを、はっきりと教えます。男性と女性ではオシッコの違いがあるの
はなぜかを、構造上の違いとして教えます。性器は食べ物のカスが出るとこ
ろだから、いつも清潔にしておくべきことも知らせます。
 子どもの性に関する質問には、ためらわずに、親の考えをありのままに答
えるようにします。潔癖すぎた態度で拒否したり、逃げたり、はぐらなした
り、ごまかしたりしないことです。性は決していやらしいもの、汚らしいも
のでなく、堂々と白日の下で語られるべきものです。わが子から性について
の質問があるということは、親子で語り合ういいチャンスです。子どもの年
齢に応じたコトバで、ほんとうのことを、あるがままに肯定的に語って聞か
せるようにします。はぐらかしたり、ごまかしたりせずに、オープンに語っ
て聞かせましょう。


  

    
男子の精通、オナニー、雑誌のヌード写真などについ
    ては、親としてはうろたえて、逃げてしまいがちです。
    どう考えたらよいのでしょうか。

 女子の初潮は、早い子は九才頃から始まります。個人差はあるが、中一で
60%が月経になっているという統計(総理府・1981調査)があります。初
潮になったらすぐ母親に知らせるように前もって教えておきましょう。急に
初潮になって驚いたり、手当の仕方が知らなくて困ったりしないように、月
経とはどういうものか、大人のからだになると女性には誰でもあるものだと
安心させて、手当の仕方については、小学校3、4年生になったら母親は娘
に教えておく必要があります。
 男子の精通は十一才頃から始まります。これも個人差があって、いちがい
に何歳から始まるとは言えません。夜、寝ているとき、夢精といって女性の
夢を見たりするとオチンチンから自然と精液が出てくることがあります。朝、
起きるとパンツがごわごわしているので、恥かしがってパンツを隠したり、
押入れのすみに隠したりすることがあります。思春期になった男子には正常
な行為であると安心させて、パンツを洗濯機の中に入れておくように教えま
す。
 母親の中には、息子や娘のオナニーの現場を見て驚いたり心配したりする
人がいます。また、オナニーをすることで悩んだりする思春期の男女がいま
す。オナニーは青年期(思春期)の性欲のはけぐちとして正常な行為であり、
独身時代では正常な性生活ですから、心配することはないと教えます。オナ
ニーで、アタマが悪くなったり、からだに害を与えることはないと教えます。
もちろん、過度なオナニーはよくありません。性交でしか満足できなくて性
非行にはしるよりも、自分の性器愛撫で解消するオナニーのほうが安心だと
言えます。
 息子の机の中からポルノ雑誌やヌード写真を発見し、驚いたり心配したり
するのは母親として当然です。男の子が思春期になれば、女性のヌードやエ
ロチックな写真や性的な記事に興味関心が向くのはごく普通のことでです。
この年齢なると、正常な行動ですから、心配することはありません。ほっぽ
っておいて、知らんふりしてればいいのです。
 子どもの性に関する質問で、性交に結びつく事柄には、ずばりと回答する
ことに抵抗を感じるものです。低学年は「あかちゃんはどこから生まれる
の」と質問し、高学年になると、何となく分かっているのに「赤ちゃんはど
うして生まれるの」と質問してきます。後者の場合は、からだのしくみ、生
命の誕生の仕組みについて語って聞かせることです。その一部に両親の性交
があることを知らせます。
 性交については、次のように話すのも一例としてあります。「お父さんの
オチンチン(ペニス)をお母さんのワレメちゃんの赤ちゃんが生まれてくる
穴(膣、ワギナ)に入れます。お父さんのオチンチン(ペニス)から種(精
子)をお母さんに送ります。お母さんのからだの中にある卵と、お父さんの
送った種とがいっしょになります。お母さんのおなかの中の子宮で九カ月育
てると、お母さんのおしりにある赤ちゃんの通り道の穴から生まれてきま
す。」と。

            
参考資料

 次は、東京新聞(2015・1・20)の記事にあった文書言うです。そこからの
引用です。福岡市教育委員会が平成25年度の道徳の副読本にエイズウイル
スの教材文を掲載する、という記事内容です。

  福岡市教委 道徳の副読本にHIV(人権啓発)小学生から

 エイズウイルス(HIV)感染者への差別や偏見をなくそうと、福岡市教
育委員会は四月から、小学五、六年生の道徳の授業で活用している副読本に、
HIVへの理解を促す内容を盛り込む方針を固めた。HIVは治療法が進歩
し「死の病」ではなくなった。学習指導要領は小学校での指導までは求めて
いないが、差別や偏見解消のためには啓発が必要と判断した。

 文部科学省によると、小学校の授業で副読本を使って感染者の人権啓発を
行う試みは珍しいという。
 市教委によると、小学生向けの副読本「ぬくもり」は五種類あり、同和問
題や女性の雇用問題について取り上げ、主に道徳の授業で活用している。学
習指導要領によると、性感染症については中学から保健の授業で学習する。
市内の小学校で使用されている教科書のHIVの記述は、ウイルスや病気の
症状の説明が中心で、感染者の人権については触れていない。
 一方、HIVは性行為を除く日常生活を通じて感染する心配はないが「唾
液や蚊で感染する」といった誤解が今も残る。就職差別や医療機関での感染
者の診療拒否といった人権侵害も起きている。このため市教委は、病気への
理解を深めてもらうため、改訂時期を迎えた小学五、六年の副読本の約四
ページに関連の内容を盛り込むことにした。
 イラストを添えた物語仕立てで、主人公が悩んだ末に友人に感染を打ち明
け、受け入れられる内容にする予定。「プールで一緒に泳いでも感染しな
い」など、正しい理解に必要な説明も盛り込む。感染者の相談に応じている
市民団体「人権と共生を考える エイズ・ワーカーズ・福岡」や福岡法務局
の助言を受けて改訂作業を進めている。
 感染者や家族を支援するNPO法人「プレイス東京」の生島嗣代表は「感
染者は偏見を恐れ、職場などで事実を打ち明けられない現実がある。単に差
別はいけないと伝えるのではなく、子どもたちが自分の問題として捉えられ
るような内容にしてほしい」と期待している。


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