父母と教師に役立つ学級懇談会の話材集    2015・2・23記




  
 家族で年中行事を楽しもう




        
日本の伝統行事・祭り


 日本の各地には、地域の生活の中で生まれ、地域の人々によって受け継が
れてきた伝統的な年中行事があります。祭り、みこし、盆踊り、縁日、節分、
七五三、初詣、町内運動会、村の芸能、その他、地域の人々のあげての四季
折々の年中行事があります。
 年中行事は、季節の節目節目で楽しむ伝統的な祭りであり文化です。日本
古来からの年中行事は、日本人の心のふるさとであり、その風物詩には四季
を彩る独特な風情と情趣があります。時代が変わっても後世まで伝えるべき
日本人の心、生活の知恵だと言えます。自分の家族と他家族が一緒になって、
あるいは地域社会の人々たちが、心を一つにして、心を通わせるコミュニ
ケーションの場であり、娯楽を楽しむ場であり、連帯感を強める場でもあり
ます。
 年中行事は、わたし達の単調で平平凡凡とした毎日の生活に、同じように
繰り返している日常生活に、季節の節目節目で生活に豊かさとうるおいを与
え、メリハリとアクセントとリズムを与え、毎日の閉塞した単調な精神に生
気と活力を与えてくれます。日本の伝統文化を継承していくことはとても重
要なことです。


     
不易流行のファッションショー


 一部の人々は、年中行事を、古い因習やバカ騒ぎのおろかな行事と軽蔑す
るかもしれません。しかし、この大いなる物質的そして精神的なムダが、わ
たしたちの極度に単調で平板な日常生活に活気と楽しさと豊かさを与えてく
れるわけです。この日本人の心のふるさを受け継ぎ、育てていくことはたい
へんに意義のあることです。年中行事は、閉塞した日常生活の空間を意匠化
し、干からびた生活空間を、変化に富んだ潤いのある生活空間に構築してく
れます。これは、日本古来からの不易流行のファッションショーだと言えま
しょう。
 年中行事が形骸化され、風化していくのは悲しいことです。大みそかにな
ると商店街では年越しそばの大売り出しをします。節分近くなると、商店街
では豆まき用の大売り出しをします。これは商業主義ペースだと、一概に否
定することはできません。端午の節句には、鯉のぼりを上げます。桃の節句
には、雛人形を飾ります。最近、日本の伝統的な年中行事が見直され、復活
してきたことはとても喜ばしいことです。
 日本古来の伝統的な行事を、親から子へ、子から孫へとしっかりと伝承し
ていきたいものです。日本人の心のふるさとを忘れてはいけません。大切に
伝承していき、日常の生活空間に生気と活気を与え、潤いと豊かさを与えて
いくようにしましょう。



   
日本の伝統行事を受け継いでいこう



 皆さんの家庭では、次のような年中行事を楽しんでいますか。これらの年
中行事をますます復活させ、盛り上げていきましょう。年中行事は、新しい
季節の訪れを告げ、みんなで催し事を楽しむことで、清新な気持ちで季節の
節目を喜び迎えることにもなります。



            
 1月


正月……………「正月」という言葉は、一年の最初の月のことをいい、1月
       1日から3日までを「三が日」といい、1月7日までを「松
       の内」と呼ぶ。

元旦……………1月1日の「元日」の朝を「元旦」と呼ぶ。親子で「あけま
       しておめでとう」と言おう。新しい年の初めを祝い、誓いを
       新たにし、本年も幸福と健康であるようにと祈る。一年の計
       は元旦にあり。本年こそはと目標を立てます。できない目標
       でなく、目先のことで着実にできる目標を立てるよういにし
       よう。

おせち料理……正月料理を神に供え、家族一同でおいしく食べる。おせち料
       理は、地域によってかなり違っている。一般的に出されるそ
       れぞれの料理には意味が込められている。黒豆(まめ・健康
       達者でまめまめしく暮らす)。数の子(卵をたくさん産む、
       子孫繁栄)。こぶ巻(「よろこぶ」の「こぶ」に通ずるか 
       ら)。栗きんとん(「きんとん。金団」の「お金が詰まっ 
       た」の意味で、豊かな一年を期待する)。鯛(「めでたい」
       にあやかりたいから)。

お年玉…………親から子への新年のお祝いの金銭の贈り物。正月の、子ども
       達の最大の楽しみである。親戚、知人からのお年玉もある。

初詣で…………新年の初めてのお参り。大みそかの十二時すぎから元旦にか
       けて神社にお参りする人も多い。本年の一年間の無病息災、
       健康安全を祈る。

年初め…………古くは本家に集合して一緒に新年を祝う習慣である。親類縁
       者、会社の上司や同僚、親しい知人の家を訪問して新年の寿
       を祝い、親睦をはかる。こうした冠婚葬祭の機会をとらえて
       日頃ご無沙汰している人たちと顔を合わせて互いの健康と近
       況報告を交わし合う。

門松……………新年に家々の門口に立てて飾る松。新しい神様を迎えるため
       のもの。昔は、松の木には神様が宿ると考えられていた。立
       派な門松はデパートや大会社の玄関にしか見られなくなった。
       一般家庭では、小枝の松飾り二本とか、紙・ビニールの印刷
       物でまにあわせるようになっている。門松を立てて置く期間
       を「松の内」と言い、通常は七草がゆの七日までだが、一定
       していない。

しめ飾り………しめ縄は、神社や神棚にはりめぐらして神聖な場所であるこ
       とを示す。しめ飾りは、家の中に災いをもたらす悪霊や不浄
       を絶つためにある。

初夢……………正月二日(三日)の朝に見る夢のこと。新しい年の吉凶を占
       う習慣がある。よい初夢を見るようにと枕の下に願いごとや
       宝船を書いた紙を入れておく地方もある。

鏡餅……………平たく円形に作った餅を大小二つ重ねて神仏に供える。神が
       宿る鏡のように薄いのが普通で、「お供え」とも呼ばれる。
       地方によっては、大きな鏡餅は、床の間や玄関に、小さな鏡
       餅は各部屋に飾る。

鏡開き…………供えていた鏡餅を下げ、雑煮や汁粉にして食べる。神様が宿
       っている鏡餅は、刃物で切らずに、木づつで割って開くため
       「鏡開き」という。

お年玉…………新年を祝って年長者から年少者にわたす金品。「年玉」とは、
       年の賜物(たまもの)」の意である。子ども達にとっては、
       新年の最大の楽しみの一つである。

新年の目標……年の初めに、今年の目標を作らせます。そろばん3級をとる。
       水泳5級をとる。算数のテスト、全部85点以上をとる。書
       道の大会で特選に入賞する。いろいろな料理に仕方を覚える。
       など、努力目標を立てます。どうしたらがんばれるか、手立
       てを具体的に計画します。

初売り…………新年、初めての売り出し。福袋を売る。福袋には必要でない
       ものまで入っている。それで一喜一憂する楽しみもある。最
       近は、海外旅行者(外国人)が来日して福袋目当てに買い物
       を楽しんでいると話題になっている。必要でない物品は友人
       同士で交換したり、入用そうな親戚の人に贈ったりする。

書き初め………古くは、正月二日に初めて文字を書く習慣があったことから
       きている。近年は、体育館などの大会場で書初め大会が開催
       されている。

七草がゆ………一月七日の朝に七草をかゆに入れて食べる。万病を取り除く
       ために神にお供えして祝う行事であるが、正月の種々の料理
       を食べた後に胃腸を休めるためにお腹にやさしいものとして
       食べる。おかゆは神様に供える料理であり、わか葉の生命力
       を取り入れたかゆのことである。七草の種類は地方によって
       違うが、標準的なのは、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、
       ほとけのざ、すずしろ(大根)、すずな(かぶ)、である。
       デパートやスーパーの食品売り場でセットで売られている。
       細かくきざんでおかゆに入れて食べる。

おとそ…………無病息災を祈り、家族の平安を祈って飲む正月の祝い酒で、
       子どもも祝う意味で少しは口につける習慣がある。

どんど焼き……一月十四日か十五日に催される火祭り。門松、しめ縄、だる
       ま、書き初めなど、近所の家々から持ち寄って、一か所に集
       めて燃やす。どんどの煙を頭につけると風邪をひかない、残
       り火をからだにこすると、その年は病気にならないなどの言
       い伝えがある。

 正月行事として、その他、晴れ着を着る・新品のに着替える。(昔は、子
どもたちは、古着から新しい洋服、着物に変えるのは正月で、正月になるま
でその古着でがまんして着て待ってろ、と言われたものだ)。日本髪(最近、
お嬢さんの正月の日本髪姿・着物姿は少なくなった。成人式に多くみられ
る)。羽根つき(勝負に負けると、顔に墨をつけられた)。たこあげ(父親
がわが子にたこを作り、たこあげの手ほどきをして楽しむ。子ども同士でも
たこ作りをして楽しむ)などがある。


           
参考資料(1)

 下記は、読売新聞(2015・1・15)の投書欄{気流」に掲載されていた記
事です。

    圧巻「どんと焼き」伝統後世に残して
             会社員 川原夢人 27 (熊本県玉名市)

 新年を迎え、地元の小学校の横を通ったとき、懐かしい光景が目に飛び込
んできた。伝統行事の「どんと焼き」。高く組まれた竹などが燃える際の迫
力は圧巻だ。子どもたちの歓声につい笑顔になった。
 私も小学生の頃、アルミホイルに餅を包んで竹ざおに針金でつるしたもの
を父に作ってもらい、どんと焼きに出かけていた。餅はそんなに好きではな
かったが、保護者の方がぜんざいを用意してくれて、焼いた餅を入れると香
ばしく、お代わりしたのを覚えている。近年はどんと焼きするところが減っ
たと聞く。準備は大変だろうが、地域の交流の場としても後世に伝えてほし
いと思う。


           
参考資料(2)

 下記は、毎日新聞(2015・1・6)の投書欄{気流」に掲載されていた記事
です。

    今年は母の手伝いをしたい
             中学生 前野南帆 12 (東京都立川市)

 私の父と母は働いていて、母は夜7時ぐらいに帰ってきます。父は、夜
10時から0時に帰ってきます。
 私は、小学生の頃は、母の手伝いをしていました。でも、中学生になって
からは私は部活で疲れて手伝いをしなくなってしまいました。母は、私が中
学生になると、仕事に行く時間が早くなってしまい、毎日毎日大変そうでし
た。
 ある日、私と母はテレビを見たりしてくつろいでいました。そうしたら母
は、すぐ寝てしまいました。そこで私は、洗濯物のタオルをたたみました。
そして、ちょっとすると母が起きてきました。母は私が洗濯物をたたんだの
に気づいたようでした。母は「えらいじゃない、ありがとう」と、言ってく
れました。私はすごくうれしかったです。
 今年、私はひまなときは、少しでもいいから母の手伝いができればいいな
と思いました。母には仕事も頑張ってほしいです。



          
 参考資料(3)

 下記は、毎日新聞(2015・1・12)の「神奈川版」記事からの引用です。

    小学生のお年玉 平均2万4971円

 今年のお正月に小学生がもらったお年玉の平均額は、前年より1381円少な
い2万4971円だったことが、川崎信用金庫(川崎市川崎区)が実施した
「お年玉調査」で分かった。景気は回復傾向と言われるが、大人の財布のひ
もはまだ固い?
 調査は毎年行われており、今回で33回目。5,6の両日、信金の店舗の
ある川崎市全域や横浜市と東京都の一部地域の小学生600人を対象に、店
頭窓口や訪問先の家庭で聞き取り調査し、98・1%にあたる589人から
回答を得た。
 平均額を学年別にみると、低学年(1〜3年生)は前年比1669円減の
2万1070円、高学年(4〜6年生)は同1267円減の2万9334円
だった。
 お年玉をくれた人の数は、前年と同じ平均5・3人。一人当たりの平均額
は、同241円減の4664円だった。
 使い道は前年同様「貯蓄」が1万8382円で最も多かった。平均額は1
899円減少したが、「全額を貯蓄」との回答が27・6%で最多となるな
ど、お年玉のうち平均73・6%が貯蓄に回っている計算だ。
 一方、575円増の6353円。買う物は「ゲーム機・ゲームソフト」が
47・2%で最多だった。
 お正月の遊びを尋ねたところ、「コンピューターゲーム」が70・0%で
最も多く、「トランプ」(32・4%)、すごろく、人生ゲームなどの
「ゲームボード」(17・2%)と続いた。



            
 2月


節分……………悪気邪気を追い払う行事である。昔は、季節の変わり目には
       人々に災いがくると考えられていた。「鬼」とは、疫病や災
       害や不幸のことで、それを追い払う行事である。いった豆を
       「福は内、鬼は外」と言いながらまく。逃げる鬼は邪気を持
       ち去っていってくれる。古くは、節変わりといって、立春、
       立冬の変わり目を節分と呼んだが、いつのまにか立春の前日
       のみを節分と呼ばれるようになった。年齢の数だけ豆を拾っ
       て食べると厄除けになると言われている。



            
 3月


ひな祭り………三月三日。女児の祝いの日。桃の節句とも呼ばれる。女児の
       いる家庭ではひな人形を飾り、菱餅や桃の花を供え、白酒で
       祝う。ひな人形は、ひな祭りの1〜2週間前に飾る。菱餅は
       菱の形をした草餅で、よもぎは薬草とされ、これを餅に入れ
       て食べると邪気を払うと考えられた。
       「灯をつけましょ、ぼんぼりに、お花をあげましょ、桃の 
       花」と歌われる。ひな人形は、最近は、一セット数十万円と
       いうものもあるが、そんな豪華なものでなく、父母の心づく
       しの手作りの紙人形でよい。紙で作った人形を川に流した、
       流しびながひな祭りのが始まりといわれる。

春分……………三月二十一日、昼と夜の長さが同じになる日。彼岸の中日に
       当たり、この日をはさむ前後三日ずつを彼岸といい、一家そ
       ろって先祖の墓参りに行く。墓の掃除をする。先祖を弔う。



            
 4月
 

花見……………本来は、山の神を迎え、物忌みのための家を開け、集団で花
       見や山遊びに出かける行事であったが、今は春の花見見物、
       家族や会社や友だち同士で出かける行楽行事となっている。
       春の一日、家族総出でピクニックがてら出かけるのは楽しい。



            
 5月


五月節句…………五月五日。子どもの日。端午の節句とも呼ばれる。男児の
        健やかでたくましい成長を願って祝う行事である。男児の
        いる家庭では五月人形(武者人形、よろい、かぶと)を飾
        ってお祝いをする。鯉のぼりや吹き流しを立て、元気よく
        育つようにと祈る。「鯉は滝をのぼって竜になる」という
        伝説がある。立身出世を願った意味でもある。ちまき、柏
        餅で祝う。しょうぶ湯に入って、からだのみそぎ払いをす
        る。しょうぶは邪気を払うと信じられている。「柱のきず
        はおととしの五月五日のせいくらべ。ちまきたべたべにい
        さんと……」と歌われている。
         端午の節句(五月五日)は「子どもの日」となった。国
        民の休日であるが、桃の節句(三月三日)の女児を祝う日
        は国民の休日ではない。天皇誕生日は国民の休日だが、皇
        后誕生日は国民の休日ではない。日本の国には、こんなと
        ころにも、まだまだ男尊女卑の観念がみられる。



            
 6月


梅雨……………梅の実が熟するころに降る長雨であることから梅雨と呼ばれ
       る。暦の上では、六月十一日を入梅といい、それから三十日
       間を梅雨と呼ぶ。長雨で陰鬱な日が続き、湿度が高く、食物
       にかびが生えたり腐敗したりしやすい。この機会に保健衛生
       に気をつける習慣をわが子に身につけたい。



            
 7月


七夕……………けんぎゅう星とおりひめ星とが一年に一回、七月七日の夜、
       天の川をはさんでデートするというロマンチックな伝説の夜
       である。
        五色の短冊に歌(短歌、俳句)や願い事を書いて、笹竹に
       結びつけて飾る。笹竹を使うのは、竹は成長が早いので、そ
       れだけ願い事も早く天に届くようにと願ったことからだ。昔
       は、サトイモの葉にたまった露の玉を集めて墨をすり、星に
       願いをかけたりもした。

盆………………旧暦の七月十五日を中心とする死者や先祖の霊をまつり、供
       養する行事である。七月十三日の夕方に先祖の霊を迎え火を
       たいて各家庭で迎え、七月十六日の夕方に送り火をたいて寺
       へ送る。盆踊りは迎える霊を慰め、これを無事に送りだす意
       味があるが、現在はこれらは娯楽行事化した行事になってい
       る。
        薮入り(藪の深い田舎に帰る意)というコトバも忘れられ
       つつあるが、これは都会地に出てきた地方人が正月と盆に帰
       省して、先祖を供養することをいったものだ。昔は、盆と正
       月の十六日に使用者からおこづかいをもらって故郷に帰った
       り、町へ遊びに行ったりするならわしがあった。「盆と正月
       が一緒に来たようだ」という格言があるが、ここからきてい
       る。
        現在では、月遅れの盆(八月十五日)を中心に「都会から
       田舎へ」「田舎から都会へ」という民族大移動が現出してい
       る。祖父母と息子・娘が、孫が再会し旧交をを温める絆を深
       める機会である。地方の一部では「お盆成人式」が行われる
       所もある。


            
 8月


夏休み…………夏休み期間中、楽しい家族行事を計画しましょう。野外行事
       でバーベキュー・パーテーをする、家族でハイキングへ行く、
       家族で自動車旅行をする。電車で遠出の家族旅行をする。海
       外旅行もいいですね。地域行事に積極的に参加する。盆踊り、
       夏祭り、そのほか地域独自で計画するイベントもあります。
       学校では学べない知識(社会体験)を得ること絶大です。

終戦記念日……昭和20年8月14日に日本がポツダム宣言を受諾し、翌日
       の8月15日に天皇によって終戦の声明(玉音放送)が行わ
       れた。若者を再び戦場へ送り出さないために、戦争を知らな
       い子ども達に、戦争の悲惨さ、愚かさ、平和を守ることの大
       切さを語り継いでいく日にしたいものです。この日に、すい
       とんを食べると決めている家庭もある。

お祭り…………地方によって祭りの時期はちがう。祭りは、神仏、祖先をま
       つることから発生した。毎年決まった日に神社で行う祈願、
       感謝、慰霊、神楽などの諸行事をいう。記念・祝賀行事の祭
       りもある。。夏は、夏祭り、秋は、収穫の祭りが多い。子ど
       もの祭りとしては、七夕祭り、ひな祭り、お正月、誕生会な
       どがある。子どもたちが楽しみにしている行事の一つである。


           
参考資料(1

 下記は、朝日新聞(2014・9・20)の投書欄「声」に掲載されていた記事
です。

      幼かった娘との夏 いとしい
               主婦  松田由紀子 44 (富山県)

 毎年、夏休みが終わり、始業式に2人の娘を送り出すと、ほっとする。今
年、長女は高校初めての夏を、次女は中学初めての夏を過ごした。
 8月、家族で関西を旅した。家族4人そろってだが、日中は行きたい場所
によって「班分け」。初日の午前中は、次女と私が京都をめぐり、長女と夫
は大阪に行った。午後から奈良で待ち合わせて「班替え」。次女と夫は平城
宮跡にむかい、長女と私は県立万葉文化館に足を延ばした。2日目もそれぞ
れの興味にそって行動した。
 親子で水遊びをしたり、朝顔の観察をしたり。そんな夏休みは、もう遠い
昔のようだ。幼い娘たちと汗だくになり、「なんて一日が長いんだろう」と
弱音を吐き、「夏休みなんて、早く終わってほしい」と、へとへとになって
いたっけ。あの日々がとても懐かしい。今になって、気づいた。あれは、本
当に大切で、いとしい時間だったのだということに。


           
参考資料(2)

 下記は、朝日新聞(2014・8・23)の投書欄「声」に掲載されていた記事
です。

      失敗恐れない夏休みにしよう
                主婦  嘉藤継世 58 (秋田県)

 「学校の夏休み 2週間に短縮して」(20日)を読んだ。私も子ども3人
が小学生だった頃、同じような気持ちで暮らしていたことを思い出して同情
した。夫は留守がちで、遠方にある実家の応援も得られず、夏休みどころか、
年中、終日ガミガミ怒鳴り散らしていたらしい。だから慰めは言わない。た
だこの際、視点を変えてみたらどうだろうか。
 まず、一切を子どもに委ねてしまう。私の次女は、明日から2学期だとい
う時に宿題を全くやっていないことを告白した。そういう経験も実は大切な
のだと思う。娘さんの例で言えば、みんなが緑青々に育てた稲を学校へ持ち
込む時、自分は枯れさせて空バケツを持って行くことも、必要な経験かもし
れない。
 県内の大潟村に住む友人によると、農家の成果は、実は失敗から学ぶこと
で得たものがほとんどだという。子どもに失敗させる、苦労させる、クラス
メートより劣る作品を提出させる。そういうことから、もっと柔軟に生きる
力や学習などへのアプローチを学ぶのではないだろうか。


           
参考資料(3)

 下記は、読売新聞(2014・8・17)の投書欄「気流」に掲載されていた記
事です。

       祭り参加を促そう
              主婦 三上佳与 35 (静岡県沼津市)

 各地の祭りが、人口減や少子高齢化による担い手不足の影響で消えていく
のではないかと不安に感じています。祭りは地域の人をつなぐ大切な交流の
場です。
 私は引っ越したばかりの頃、町内会の役員になり、祭りの準備をしました。
初めは知り合いがおらず、やりづらかったのですが、打ち合わせを重ねるう
ちに町内の人たちと仲良くなり、協力してやり遂げた達成感も得られました。
 埼玉県熊谷市は、市民や事業者に祭りへの参加や支援を促す条例を施行し
たようです。こうした動きが広がることを願っています。



            
 9月


二百十日………立春から数えて二百十日、二百二十日頃は統計的に暴風雨が
       多い日が続く。だから農家の厄日とされてきた。この時期は
       イネの開花期に当たり、台風におそわれると不作になる。台
       風のないことを祈って、村の鎮守の神様の前で風鎮めの祭り
       が日本各地で行われる。

十五夜…………旧暦八月十日(新暦九月十八日)の夜のことで、この夜の満
       月のことを「中秋の名月」と呼ぶ。月見団子、すすき、果物
       を飾って名月を鑑賞する習わしがある。「うさぎ、うさぎ、
       なにみてはねる。十五やお月さん見てはねる」と歌われる。
       一年でもっとも月が冴えて美しく見える時期であり、奈良・
       平安時代では、貴族の間で、月を鑑賞して詩歌を詠む月見の
       行事が行われていた。

秋分の日………九月二十三日頃、昼と夜の長さが同じになる日。彼岸の中日
       に当たり、先祖の霊をとむらうために一家そろってお墓参り
       に行く。「暑さ、寒さも彼岸まで」と言われ、この日を境に
       して暑さも終わりに近づくことになる。わが家の家系のこと、
       祖父、祖母のことを語って聞かせ、先祖に誇りを持ち、先祖
       を大切にする気持ちを育てる。



            
 10月


十三夜………旧暦九月十三日(新暦十月十七日頃)の夜のことで、十五やと
      同じく名月を鑑賞する習わしがある。風流、風雅を愛する心を
      育てたい。



             
11月


七五三………十一月十五日。子どもが三歳、五歳、七歳になると、神社に 
      参拝し、将来の成長を祈願する。千歳飴を買い、それを手に持
      って記念写真をとる。最近は、派手な着物で着飾る傾向にある
      が、それは必要でなく、無事に成長している節目の披露を神社
      に参拝し、将来の健やかな成長を祈ることにある。千歳飴は。
      東京の浅草で売り出されたのが初めといわれ、棒飴は「伸ば 
      す」と縁起をかついでいる。



            
 12月


すす払い……今年一年間のすすを払い、心の中まですっかりと清める。新 
      しい気持ちで新年を迎える準備をする。そのため家族総出で大
      掃除をする。神社仏閣でも、内外を清め、仏像のすすを払う行
      事が行われ、すすと一緒に厄や穢れをはらい、一年の無事を喜
      ぶ意味もこめられている。

大みそか……十二月三十一日。「大年(おおどし)」「除夜」とも呼ばれる。
      毎月の終わりの日を「みそか」と呼び、十二月は一年の終わり
      なので「大みそか」と呼ばれる。一年を振り返り、新年を迎え
      る準備をする。家族団らんの夜である。紅白歌合戦など、テレ
      ビ番組では各局は視聴率大を目当てに工夫した長時間番組を編
      成する。

年越しそば…おおみそかの夜にそばを食べる。来年も、そばのようにすべり
      よく、長く幸せでありますようにと縁起をかついで食べる。細
      く長く家運が繁栄し、寿命が延びることをも願って食べる。

除夜の鐘……煩悩を取り除くため、寺院では除夜の十二時をはさんで108
      個の鐘をつく。人間には108個の煩悩(心身を悩まし、苦し
      める心の作用)があるとされ、それを一年の終わりに払うため
      108個の鐘を鳴らす。毎年、NHKでは紅白歌合戦のあと、
      除夜の鐘を鳴らす寺院の場面を放送している。紅白歌合戦も終
      わり、除夜の鐘が鳴りだすと、そろそろ初詣に出かける人も多
      くなる。


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